2012年1月の広告資料
※各ポスター作品の著作権は、その広告主および制作者に帰属します。データの転用は一切禁止しております。
- 2012年1月折り込みチラシ
- 天丼てんや
今年第一回目のチョイスは「てんや」の折り込み広告です。この資料館でのコメントは視線誘導やデザイン上のレイアウトに付いて触れる機会が多いのですが、今回のこの広告は、提案提起型広告と呼べそうなジャンルです。直近の例を見ると、最近若者のウイスキー離れが激しく、売り上げが落ちている対策として、サントリーは「サントリー角瓶」の売り上げをアップする目的で、「ウイスキーがお好きでしょ」と大きくキャンペーンを展開し、現在のハイボールブームの成功へと繋がった事はご存じかと思います。ここで面白いのは自社のウイスキーだけではなく他社の商品を含めてキャンペーンを打った事です。一つの商品ではなく、ウイスキー全体の売り上げアップを図った事が成功に繋がっていることは確かです。
この折り込み広告も、年越し蕎麦に天ぷらを添えてはいかがですか?と提案しています。大晦日の年越し蕎麦は忙しい年末にさっと済ませる食事ですので、そこに総菜の天ぷらを加えて豪華にしましょう。とコンセプトにピッタリはまるようです。数年後に年越し蕎麦には天ぷらが添えるのが当然となるかは分かりませんが、自社製品だけではなく日本の社会全体のムーブメントを引っ張ろうとする意気込みを感じる広告です。手先のテクニックではなく、広告本来の姿に触れたような立派な方向性を感じます。
- 2012年1月折り込みチラシ
- WATAMI「ワタミタクショク」
今月のもう一つのチョイスはWATAMIから出している「ワタミタクショク」の折り込み広告です。左右2点同じ様に並べていますが、違いが分かるでしょうか。写真や素材レイアウト等ほとんど同じなのですが、左は「毎日手作り・・・」のコピーなのに対して右は、ざるに入った野菜のイメージ写真と「野菜満菜。」とコピーが変わって、大きい文字になっています。他にも少しずつ変わっている部分もありますが、大きな部分はそこだけと言っても良いでしょう。何故2タイプの折り込みがあるのか不思議に思う方もいるでしょうが、左側の広告を先に出して、反応を確かめたところ今一つ商品の内容と特徴が伝わらなかったと分析され、次に商品の内容を強く打つための修正が入ったのでしょう。
この様に、広告は一度出した物を分析して修正をする事で効果が大きくなります。一番良い物が最初から分かっていれば修正の必要は無いのですが、制作には多くの人が関わり、色々な意見が出るために少しずつ本来のコンセプトとズレ、結果が見えなくなることがママあるのです。今月の折り込みチョイスは、分析と修正がよく分かる良い見本です。